
「経結膜脱脂法」という術式をご存知ですか?
この言葉をご存知の方は、目の下のクマやたるみ治療を検討されている方も多いのではないでしょうか。
「経結膜脱脂法」とは、目の下のクマやたるみの原因となる“目の下の脂肪”によるふくらみを改善する術式です。しかも下まぶたの裏側からアプローチを行う施術方法なので、人からみえる位置には傷跡が残らず、暗く老けた印象に見えがちな症状を改善し、若々しく華やかな印象にすることができるとてもいい治療方法です。
ダウンタイムや治療に伴うリスクは決して0ではありませんが、この先ずっと症状に悩まされるより、決意を固めて施術することで症状を改善すれば鏡を見ることが今まで以上に楽しくなるかもしれません。
今回は、経結膜脱脂法の詳しい治療内容をご紹介します。この術式をご検討されている方は、参考にされてみて下さい。
目次
1 経結膜脱脂法とは
経結膜脱脂法とは、簡単に説明すると下まぶたの裏側(アッカンベーをした時に見える赤い粘膜部分)を切開し、目の下のふくらみの原因となる脂肪を取り出す手術のことです。
経結膜脱脂法は、「経結膜脱脂術」や「下眼瞼脱脂術(経結膜法)かがんけんだっしじゅつ(けいけつまくほう)」ともいい、クリニックによっては「切らない目の下のたるみ取り」と術式に名前を付けて記しているところもあります。呼び方は、クリニックによって様々ですが、目の下のたるみ治療で一番取り扱っているクリニックが多い術式です。
経結膜脱脂法した患者様の症例
年齢が23歳と若い症例ですが、印象が全く異なり若々しく華やかな印象になっています。経結膜脱脂法の適応症状には加齢によるものだけではなく、20代の方も多くいらっしゃる症状です。
経結膜脱脂法は、人から見える箇所には傷が残らず症状を確実に改善することができます。
本記事では、経結膜脱脂法の気になる点を細かく解説いたします。
1-1施術方法と施術の流れ
経結膜脱脂法の施術方法のポイントは下記の3つです。
- 下まぶたの裏側を切開する
- 目の下の脂肪(眼窩脂肪)を引き出す
- 目の下の脂肪を摘出する
目の裏側の粘膜は自己治癒力によって傷口が塞がるので縫合はしません。施術所要時間は執刀医の手技によって異なりますが、1時間程度です。この工程の前に麻酔を使用するので術中の痛みは一切ありません。
2 写真で解説!施術の流れ
経結膜脱脂法の施術の流れを実際に行っている写真を使って詳しく説明していきます。
※切開しているカットや血が見えるカットなどがありますので観覧にご注意ください。
1 目の表側・裏側に局所麻酔をする
必ず点眼麻酔・局所麻酔を使用します。局所麻酔は痛みを感じるので笑気麻酔をしながら注射をしていきます。
2 まつ毛をテープで固定して目の裏側を切開する
目の裏側の眼輪筋と眼窩隔膜を剥離します。
3 眼窩隔膜を切開し、眼窩脂肪を引き出す
眼窩脂肪は必要であれば3箇所(内、中、外)の眼窩脂肪を引き出し摘出します。
4眼窩脂肪を切除・摘出する
眼窩脂肪を切除します。この時に仕上がりを想定した最適な脂肪量を摘出することがポイントです。
5 切開した傷口を止血する
眼窩脂肪を摘出した断端をバイポーラで電気凝固止血します。
6 患部をテープで固定する
脂肪を摘出した患部にテープで固定をして終了です。
この術式は縫合を行わないので抜糸の必要がありません。1カ月後、3ヶ月後に検診で異常がなければ終了です。
3 経結膜脱脂法と組み合わせる施術
経結膜脱脂法はクリニックによって見解が異なります。大きな見解の違いは、「脂肪注入を組み合わせるか」です。結論からいうと、当院では経結膜脱脂法に脂肪注入を組み合わせる方法はおすすめしておりません。それは脂肪注入を行わなくても綺麗に治療できることがほとんどです。
脂肪注入を行うことによる身体的負担・組み合わせ治療による金額面の負担などのリスクを背負ってまで脂肪注入を行う必要はないという見解です。
3-1経結膜脱脂法に組み合わせる「脂肪注入」とは
まずは組み合わせ治療で行う脂肪注入の方法をご紹介します。
脂肪注入の組み合わせ治療とは、経結膜脱脂法で目の下のふくらみをできる限り改善し、凹んだ部分に脂肪注入します。
脂肪注入を行う目的や方法もクリニックによって見解が異なります。脂肪注入を行う為に一度取り出した眼窩脂肪を使用したり、太ももやお尻から脂肪を吸引して不純物などを取り除き注入する場合もあります。また、価格設定もクリニックによって大きく変わります。一番高額な術式では100万円近い価格で行っているクリニックもあります。
上記でもご説明した通り、当院の見解では脂肪注入を組み合わせることはほとんどしません。脂肪注入を組み合わせなくても、仕上がりを想定し摘出する脂肪の量を調整することで、美しい仕上がりにすることができる場合がほとんどだからです。
また、凹みやシワを回避するために脂肪注入を行うクリニックもありますが、凹みやシワの症状に関しては最適な術式を提案することでカバーすることができます。
脂肪注入のデメリットとリスク
脂肪注入を行うメリットとしては、ふくらみを形成したい部位に直接注入することで自在にデザインができることです。リスクは、注入した脂肪が定着せずデザインした通りに効果を得ることが出来ず、定着しなかった脂肪が壊死ししこりになる可能性などがあります。
もし注入した脂肪が壊死し、しこりになった場合、治療する必要があります。しこりになっている部分にステロイドを局注したり、最悪の場合には切開し摘出する必要があります。
また、脂肪注入をするには注入するための脂肪を太ももやお尻から吸引しなければいけません。(その他の方法もありますが、一般的な方法です)これによる痛みやダウンタイムが生じ、脂肪注入をするための費用が必要になります。
このデメリットとリスクを背負ってまで脂肪注入をする意味はありません。経験のある医師が行う経結膜法は、脂肪注入を行わなくても美しく仕上げることができる場合がほとんどです。
経結膜脱脂法との組み合わせで脂肪注入に興味がある方は、多くの症例を持つクリニックで、カウンセリングを聞いてみるのも良いでしょう。
4 経結膜脱脂法の価格
都内の美容クリニックで行う経結膜脱脂法の価格は98,000円~324,000円です。また、10万円以下の極端に安価なクリニックを除いた都内の平均相場は¥318,060です。
経結膜脱脂法の術式は美容外科の手術の中でも難しい技術が必要とされており、10万円以下の極端に安価なクリニックはおすすめしません。
執刀する医師の技術と経験のある場合には相当の価格を設定するので、平均相場を参考にされてみて下さい。
また、経結膜脱脂法に必要な麻酔料、診察用、施術に伴う薬や保護テープなどのアフターケア物品が含まれているかを確認してみましょう。これらの料金が施術料金に含まれている方が親切といえます。これらが別途必要な場合は1万円ほどの差が出ます。
さらに、経結膜脱脂法を行う為の交通費を補助してくれるクリニックなど、それぞれのクリニックによって提示価格と保証内容、補助内容が異なりますので、価格を比較するときに検討してみて下さい。
5 経結膜脱脂法のダウンタイム
経結膜脱脂法には必ずダウンタイムがあります。ダウンタイムには個人差があり、大きな症状が現れる方もいれば、ほとんど変化がなく期間も短く済んでしまう方もいます。この章では、ダウンタイムの症状を中心に詳しく解説していきます。
5-1ダウンタイムの症状と期間
ダウンタイムの症状 |
期間 |
内出血、腫れ |
最長2週間 |
施術1週間後の写真
この症例は、内出血の症状が大きい方の写真です。眼球の内出血が出ており、患部も紫や黄色っぽい内出血の症状が出ています。
メイクをした写真
翌日からメイクをすることが可能なので、メイクで症状を隠すことができます。メイクをした写真ですが、内出血はほとんど隠れています。腫れの症状はほとんど落ち着いています。
1ヶ月後の写真
期間や症状のどあいにこじんさはありますが、ダウンタイムは最長で2週間出る可能性があります。症状ごとのダウンタイムの期間と短く抑えるための方法は下記の通りです。
内出血…2週間
最小限に抑えるためには、当日・翌日は患部を良く冷やすことが重要です。目が疲れるようなことはせず、施術日・翌日は血行が良くなることは避け安静に過ごしましょう。
腫れ…1週間
目立つ腫れは1週間ほどで治まります。当日・翌日は患部を良く冷やすことで最小限に抑えることができます。完全に腫れが引いて完成するのは3ヶ月後です。
ダウンタイムを短く抑えるイセアのこだわり
経結膜脱脂法は下まぶたの裏側を切開する方法ですが、この切開をするときに使用するメスがポイントです。高周波レーザーメスを使用するクリニックがありますが、イセアでは通常のメスを使用します。高周波レーザーメスは、熱を加えながら切開を行うため、出血を抑えることができ、止血を行う必要がなくなるので施術がしやすくなる医療器具です。しかし、切開部分に熱が加わる事で栄養分が運ばれなくなり、傷の治りが遅くなってしまいます。傷の治りが遅くなってしまうということは、ダウンタイムが長くなるということです。
イセアでは、通常のメスを使用することでダウンタイムをできる限り短く抑えることにこだわっています。
5-2術後の生活
ダウンタイムで少し触れましたが、完全に腫れの症状が治まり完成するのは術後3ヶ月後です。
通院は1ヶ月、3ヶ月の2回クリニックに検診をする必要があります。
経結膜脱脂法は術後1週間ほど生活に制限があります。下記の表にまとめましたのでご覧ください。
シャワー・入浴 患部は濡らさないでください。 |
洗顔 患部は濡らさないでください。 |
洗髪 患部は濡らさないでください。 |
メイク アイメイクは |
コンタクト 清潔なものを使用してください
|
目薬 用法・用量を守って |
飲酒 過度な摂取はお控えください。
|
喫煙 血液循環が悪くなるため、1週間はお控えください。 |
運動 激しい運動は1カ月間お控えください。 |
6 経結膜脱脂法の痛み
経結膜脱脂法で痛みを感じるタイミングは2つです。局所麻酔使用するときの痛みと、麻酔が切れた時に感じる痛みです。
それぞれの痛みに関しては対策をご紹介します。
局所麻酔を使用するときの痛み
経結膜脱脂法で一番強い痛みを感じるタイミングです。点眼麻酔と笑気麻酔を使用することで痛みを緩和することができます。この痛みを耐えたら、これ以上痛みを感じることはありません。
麻酔がきれた時に感じる痛み
術後の麻酔がきれた時に感じる痛みです。いわゆる鈍痛で、耐えられないほどの痛みはありません。痛みを感じるようでしたら、処方する痛み止めを服用することで緩和することができます。
「目の手術」というと痛そうなイメージを持たれる方もいらっしゃいますが、術中は麻酔が効いているので痛みを感じることはありません。
脂肪を摘出するときも、脂肪には神経が通っていないので全く痛みはありませんのでご安心ください。局所麻酔を使用するときの痛みの対策に関しては、クリニックによって異なりますので不安な方は相談してみて下さい。
7 経結膜脱脂法のリスク・失敗
外科手術には、どうしても起こりうるリスクがあります。リスクを理解したうえで経結膜脱脂法を受けましょう。
脂肪を取りすぎたことによるくぼみ
眼窩脂肪を取りすぎることによるくぼみができてしまう可能性があります。経験と技術がある医師が行うことで回避できるリスクです。
感染
経結膜脱脂法は切開を行うので、感染をおこすリスクがあります。感染のリスクを軽減するために術後に抗生物質を服用します。
左右差が生じる
左右で最適な量を摘出しなかったことが原因で起こりうる症状です。これは、医師の技術でカバーできる失敗(好ましくない結果)と捉えてもよいでしょう。
小じわや皮膚のたるみが目立つ可能性
脂肪を摘出した後に皮膚のたるみが目立つ可能性は、適応症状かを診断できていない場合に起こります。皮膚のたるみが生じる可能性のある症状には、皮膚を切除する治療方法を行う必要があります。
8 クリニックの選びで押さえておきたいポイント
経結膜脱脂法を検討されている方にクリニック選びのポイントをご紹介します。下記のポイントを抑えておきましょう。
1 腕のある医師がいること
経結膜脱脂法は美容外科の中でも難しい術式です。医師の技術が必要なため、症例数が多い医師がいることや、解剖学を理解している形成外科の医師が執刀するクリニックを選びましょう。
2 見解を理解すること
1章でも記述した通り脂肪注入を推奨しているクリニックと、そうでないクリニックの見解があります。見解を理解したうえで納得のできるクリニックを選びましょう。
3 保証や補助がきちんと明記されていること
効果に対する保証制度がしっかり明記してあるクリニックの方が親切といえます。効果に自信があると捉えることができますし、自分にとって必要な補助やサービスが充実しているクリニックは安心材料になります。
もし自分のたるみの症状が経結膜脱脂法が適応なのかわからない場合は、下眼瞼除皺術(下眼瞼切除術や切開法と表記してあるクリニックもあります)、下眼瞼脱脂・除皺術、ハムラ法といった症状に合わせた適応手術が提案されているクリニックを選びましょう。
ひとつの術式しか提案しないクリニックは、異なる症状に対して対応ができないので、仕上がりの面でリスクが高まります。
9 まとめ
今回は経結膜脱脂法について詳しく解説をしましたがいかがでしたでしょうか。下記がまとめたものです。
・経結膜脱脂法とは下まぶたの裏側を切開し眼窩脂肪を摘出する術式
・脂肪注入の組み合わせ治療はクリニックによって見解が異なる
・経結膜脱脂法の平均相場は318,060円
・経結膜脱脂法には最長2週間のダウンタイムがある
・経結膜脱脂法の痛みは局所麻酔と術後の痛み
・経結膜脱脂法のリスク・失敗がある
・クリニック選びのポイントは3つ
以上です。経結膜脱脂法の術式をご存知の方は、目の下のたるみ治療を検討されている方は多いかと思いますが、若々しく華やかな印象になる「経結膜脱脂法」は当院でもおすすめの治療方法です。是非、前向きに考えてみて下さいね。
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