
ほうれい線を糸で改善する治療があります。
この治療はメスを使わず、切らない施術であるため、切らないフェイスリフトとして選ばれやすい治療のひとつです。
実際に、たるんだ組織によって深くなるほうれい線に対して、皮下組織(主に皮下脂肪で構成される)の層にトゲのついた糸を挿入し、組織を引っ掛けて引き上げることができるため、施術直後から効果を感じやすい施術です。
とはいえ、顔に糸という異物を入れる施術であるため、痛みやダウンタイム、リスクが気になる方も多いと思います。
そして、糸にも色々な種類がありますので、どの糸がほうれい線の改善に適しているのか分からない方も多いと思います。
そこで今回はほうれい線を糸で改善する料金や方法、痛みやダウンタイム、リスクなどの全てを形成外科医が解説していきます。
ほうれい線を糸で改善させたいと思っている方、ぜひ参考にしてみてください。
目次
1 ほうれい線を糸で改善させる方法とは
ほうれい線は糸による治療で改善させることができます。
下記の症例は、当イセアクリニックで糸治療を行った方の症例です。ほうれい線が全体的に改善していることが分かると思います。
なぜこのように目に見えるほどの効果が現れるのかというと、下記のようなトゲの付いた糸を皮下組織に挿入し、トゲを引っ掛けて物理的に上に引き上げることができるからです。
まず、下記の写真のように先がとがっていない糸の付いた針をこめかみ周辺より挿入します。
このとき、糸の付いた針を刺入できるくらいの小さな入り口を先に皮膚に空けておきますが、とても小さな入り口なので縫う必要はなく、自然に治癒します。
この小さな入り口から6cm~10cm程度の長さの糸の付いた針をほうれい線に向かって挿入し、針だけを抜きます。針を抜くときにトゲの付いた糸が皮下組織に引っ掛かるため、たるんでいる頬が上に引き上がります。
皮膚の外に出ている余分な糸は短く切り、糸の端は皮下に入れます。
ほうれい線のたるみの強さによって何本か糸を挿入し、施術は終了です。
物理的に組織を引き上げるため、すぐに効果が見られることやメスを使わないため、顔に小さな傷しか残らない、さらにダウンタイムが少ないことも糸によるほうれい線治療が選ばれやすい理由です。
2 ほうれい線治療に使用する主な糸の種類
ひとくちに糸を使った治療といっても糸には様々な種類があります。
まず、糸の種類には大きく分けて溶ける糸と溶けない糸の2種類があります。さらにその溶ける糸の中にも柔らかい素材のもの、硬い素材のものなどといった種類に分けられ、その特性は糸の素材によって異なります。
以下の表に素材による糸の特性をまとめました。
上記の表のようにそれぞれにメリット・デメリットがありますが、トータル的なメリットを考え、当イセアクリニックではほうれい線の改善にNcogリフトシリーズのひとつであるN-cogスパイラルを使用しています。
N-cogスパイラルは上記表で示した特徴の他にも糸の形状が他の糸と異なります。
上記のイラストのようにN-cogシリーズはトゲの切込みが深く、引っ掛かりが強いため、引き上げ効果も高いことに加え、約6ヶ月~1年で吸収されるという特徴を持ちますので、体内に残らないといったメリットも上げられます。
さらに、N-cogには挿入するタイミングと吸収される2回のタイミングでコラーゲンの生成を促すことができるため、皮膚のハリや弾力が取り戻せるといったスキンケア効果も期待できます。
そのため、当院ではN-cogをほうれい線改善に効果的な糸として使用しています。
3 糸によるほうれい線治療の料金
当院でほうれい線改善治療を行う場合の料金は下記のとおりです。(税込)
|
販売単位 |
初回 |
2回目以降 |
N-cogスパイラル |
1本 |
22,000円 |
18,700円 |
本数により価格は異なりますが、N-cogでほうれい線の改善を行う場合、最低でも両頬に5本ずつで計10本入れると効果が出やすいです。
人の顔には左右差があるため、片側のほうれい線が深い場合は、バランスを考え左右で違う本数を使用することもあります。
4 糸によるほうれい線治療の痛み
糸治療による痛みを感じるタイミングは2回あります。1回目は局所麻酔を行うとき、2回目は実際に糸の付いた針を挿入するときです。
局所麻酔とは、注射による麻酔です。針を刺すときと麻酔を注入するときの浸透圧による痛みがありますが、この局所麻酔の痛みは吸入式の笑気麻酔によって緩和することができます。
吸入式の笑気麻酔とは、笑気ガスを鼻から吸い込むことで酔っ払ったような感覚になり、痛みに対する感覚が鈍くなります。
痛みの感覚が鈍くなっている間に、局所麻酔を糸を挿入する部分に注入していきます。
局所麻酔を行うと痛みの感覚は麻痺するため、糸を挿入するときには痛みを感じません。
局所麻酔は2~3時間程度の効果が持続します。施術時間は30分程度であるため、麻酔の効果が切れた頃にはもう施術が終わり、帰宅している頃になります。
術後は糸を挿入した部分を押さえたりすると違和感を感じることがありますが、痛みではなく、例えばポニーテールをしているときに髪の毛を引っ張られているような、突っ張っり感が出ることが多いです。
この違和感が落ち着くのに長くて1ヶ月くらい掛かることがあります。
5 糸によるほうれい線治療のダウンタイム
上記でも術後の違和感について説明しましたが、他にも知っておきたいダウンタイムがあります。それは、腫れ・内出血・突っ張り感です。
腫れ
切開はしないといえども、針を挿入し、糸という異物を入れる施術ですので多少の腫れを伴います。
しかし、大きく腫れるといったことはほとんどなく、むくみ程度の腫れとなります。
内出血
麻酔の注射と針の挿入による内出血がみられる場合があります。
内出血は長い方で1~2週間で改善されます。
突っ張り感
前章でも説明した通り、1ヶ月程度の間、突っ張りを感じる場合があります。
糸によりこめかみ方向に引きあがっているため、馴染むまで違和感を感じます。1ヶ月くらい経つと徐々に気にならなくなります。
6 糸によるほうれい線治療のリスク
糸治療のリスクには、アレルギー反応、感染、刺入部からの糸の露出などがあります。起こり得るリスクを一つずつ説明していきます。
アレルギー
異物反応によるアレルギー反応が起こることがあります。
食べ物や飲み物、薬、化粧品などにもアレルギーがあるように、糸という異物を体内に入れるためアレルギー反応が出る可能性は0ではありません。
刺入部からの糸の露出
糸を挿入後、長く余った糸を切る際に、皮膚の下に埋まる長さできらないと糸が皮膚から露出してしまう場合があります。
感染
いかなる施術であっても感染によるリスクは0ではありませんが、以下のことに注意が必要です。
院内や施術ルームを清潔に保つことや、器具は必ず新品のものを使い、また施術当日は挿入部は濡らさず、入り口が治るまでメイクをしないでください。
7 カウンセリング予約から施術まで
実際に当院で糸治療を受ける流れを説明します。
- ご予約
WEB予約もしくはお電話にてご予約ください。
この時点では、何本入れたいなどのご希望が決まっていなくても問題ありません。また、施術を受けるかどうかは決まっていないけれど興味があるといった方もぜひ、お話を聞きにきてください。
- カウンセリング
カウンセラー・ドクターが施術について、またプランについてを説明いたします。
不安な点や疑問点がありましたらお気軽にご相談ください。決して無理な勧誘等はいたしませんので、予算が決まっている中での治療といったご案内もさせていただきます。
また、ドクターから施術についてやリスク、副作用についてもしっかりご説明いたします。予約枠が空いていれば当日の施術も可能です。
- お支払い
カウンセリングのみの場合は、お支払いは発生いたしません。
お申込が決まっている場合は、カウンセリング後もしくは施術当日にお支払いいただきます。
お支払い方法は現金・各種クレジットカード・デビットカード・医療ローンでのお支払いが可能となりますので、ご自身にあったお支払い方法をお選びください。
- 施術
施術時間は約30分です。
まず、マーキングを行い、糸を挿入する位置を決めていきます。
その後、吸入式の笑気麻酔を鼻から吸っていただき、笑気麻酔が効いてきたら糸を挿入する部位に局所麻酔を注射します。
局所麻酔が効くと施術の痛みを感じなくなり、その後、糸を挿入していきます。
術後は多少の腫れを伴いますが、鏡で引きあがりをご確認いただけます。
- 何かありましたら再診をお願いします。
糸によるほうれい線治療は、基本的に再診は必要ありません。
しかし、気になることや痛み、腫れが続く場合はいつでも診察いたします。
8 組み合わせ治療について
糸による治療でもほうれい線改善の効果を期待することができますが、注入治療と組み合わせることでより効果が発揮できる治療があります。
ヒアルロン酸注入治療
ヒアルロン酸注入治療とは、元々体内に存在するヒアルロン酸を注入用の製品にしたもので、注射で注入する治療です。ほうれい線の凹みにヒアルロン酸を注入することで改善していく治療となります。糸による引き上げと同時に、ほうれい線にヒアルロン酸を注入することで、よりほうれい線が浅くなります。
下記の症例は、ほうれい線を糸で引き上げた後、ヒアルロン酸を注入した症例です。
ほうれい線が浅くなっていることが分かります。
このように糸と注入治療の組み合わせは、ほうれい線の改善に適した治療なのです。
9 まとめ
いかがでしたでしょうか?
ほうれい線を糸で改善する方法は、トゲのついた糸を皮下に挿入し、物理的に皮下組織に引っ掛け、引き上げる方法です。このほうれい線の改善に対して当院ではN-cogスパイラルという糸を使用しています。
糸によるほうれい線治療の痛みは、笑気麻酔と局所麻酔を併用することで痛みを感じない状態で、施術が可能となります。
糸治療はほとんどダウンタイムがない治療ですが、むくみ程度の腫れが1週間程度出ることや、ポニーテールをしたときのような突っ張り感が1ヶ月程度続く場合があります。
ダウンタイムには腫れや突っ張り感以外に内出血が出ることもありますが、1~2週間でおさまります。
糸治療のリスクには、アレルギー反応、感染、刺入部からの糸の露出、挙げられます。
また、糸治療は注入治療と組み合わせることでより効果を発揮できます。そのため、更なる効果を求める場合は、このコンビネーション治療を相談して見ましょう。
このように糸治療はメスを使わず傷跡が小さく、目立たない手軽な治療です。ほうれい線にお悩みの方は、ぜひ一度検討してみてください。
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