
レーザー治療でタトゥーは本当に除去できるのだろうか…?
こう不安に感じたことはありませんか?
手術という除去方法がある中で、体に負担もなく、メスを使わず、ダウンタイムが少ないレーザー治療でタトゥーを完全に除去できたら理想的ですよね?
しかし、レーザーで完全に除去できるタトゥーは、タトゥーの中でも一部なのです。
レーザーの種類にもよりますが、除去できるタトゥーはご自信でマチ針やハリがねと墨汁を使用して彫った自彫りのタトゥーとタトゥーショップで彫った機械彫りの一部のタトゥーです。
本記事では、レーザー治療でタトゥーが除去できない理由をレーザー治療の仕組みを交えながら解説していきます。また消えるタトゥーと消えないタトゥーの見分け方を説明しますので、レーザー治療を検討されている方、レーザー治療中の方で消えないな…と感じている方はぜひ参考にしてみてください。
目次
1.レーザー治療では消えないタトゥーもある
レーザー治療では、除去できるタトゥーとできないタトゥーがあり、それはタトゥーの種類とタトゥーの色合い、使用するレーザー機器によって異なります。
下記の表は除去できる可能性が高いタトゥーと除去できない可能性が高いタトゥーを示した表です。
黒色 | カラー | |
自彫り | ○ | ○ |
機械彫り | △ | △ |
和彫り(刺青) | × | × |
まず、タトゥーの種類について説明します。
タトゥーの種類は主に自彫りのタトゥー・機械彫りのタトゥー・和彫りのタトゥー(刺青)の3つが挙げられ、この中でもレーザーで除去できるタトゥーは自彫りのタトゥーと一部の機械彫りのタトゥーです。
- 自彫りのタトゥー
自分自身でハリがねやマチ針と墨汁を使って彫ったタトゥー
- 機械彫りのタトゥー
ファッションタトゥーとも呼ばれる、タトゥーショップで機械を使用して彫ったタトゥー
- 和彫りのタトゥー(刺青)
専門店で彫り師が手で彫ったタトゥー、刺青とも呼ばれるもの
レーザーで除去できるタトゥーがなぜ自彫りのタトゥーと一部の機械彫りのタトゥーに絞られるのかというと、レーザーでは衝撃と熱が届く深度が限られているからです。
肌の構造は、一番浅い層が表皮、次に真皮、そして皮下組織(脂肪層)となっています。
表皮は肌のターンオーバーがなされる部分であり、約28日掛けて角質が生まれ変わっていきますが、真皮や皮下組織の深い層にはターンオーバーが存在しないため、真皮や皮下組織の中に留まり続けます。
タトゥーは墨がターンオーバーで消えないよう、真皮や皮下組織の深い層に彫っていきます。
しかし、レーザー照射が届く深度は、真皮層までに留まります。そのため、レーザー治療では、深い層(主に皮下組織)まで墨が入っている場合、レーザーの照射深度外となってしまい、タトゥーが消えないということになります。
2.レーザーでタトゥーが除去できる回数と期間
前章では、一般的に除去できるタトゥーとできないタトゥーの種類を紹介しましたが、もちろん、例外もあります。機械彫りでもより深い皮下組織にまで墨が入っている場合もあり、自彫りのタトゥーも同様です。
皮下組織に墨が入っている場合、レーザーでの完全に除去することは難しいですが、どの層まで墨が入っているかを調べる方法は現状、切開する方法しかありません。
そのため、レーザー治療でタトゥー除去を考えている場合、レーザー治療が有効か判断するタイミングはどのくらいの回数、期間なのかを2章では説明していきます。
そもそも、レーザーでタトゥーを除去する方法は、レーザーで色素(墨)を粉砕することと人が持っている治癒力に関係しています。
レーザーの衝撃と熱でタトゥーの色素(墨)を細かく粉砕し、白血球の一種で、体内で死んでしまった細胞や変性物質を捕食して消化してくれる働きを持つ貧食細胞(マクロファージ)や肌の新陳代謝であるターンオーバー(肌の生まれ変わり)によって体外に排出されるという仕組みだからです。
また、一度の照射で全てが粉砕できるわけではないので、少しずつ粉砕していき、時間を掛けて体外に排出していきます。
このどれくらい細かく粉砕できるのか、照射間隔はどのくらい必要なのかにより、何回照射が必要なのかとどのくらいの照射期間になるのかは変わります。
細かく粉砕できる方が照射回数も照射間隔も少なく短くなるからです。また、細かく粉砕できるのか、照射間隔はどのくらい必要なのかは、タトゥー除去で用いられるPICOレーザーとYAGスイッチレーザーという2種類のレーザーによって異なります。
2-1.PICOレーザー
|
照射回数 |
期間 |
価格(1回) |
PICOレーザー |
3回以上 |
6ヶ月以上 |
18,700円/1㎠ |
※価格は当東京イセアクリニックの価格となります。
※価格は税込です。
※価格は照射範囲が大きくなるにつれ1㎠あたりの料金が安くなります。
詳しくはこちらからレーザー治療の料金をご確認ください。
上の表はPICOレーザーを用いた場合、照射回数は最低何回必要で、期間は最低何ヶ月掛かるかを示した表です。
PICOレーザーとは、ピコ秒(1兆分の1秒)で照射されるタトゥー除去レーザーの中でも最新のレーザー機器の総称です。PICOレーザーは照射時間が早い分、衝撃が強く、現在タトゥー除去レーザーで使用されるレーザーの中で最も色素を細かく粉砕することができます。
細かく粉砕できる分、貧食細胞も細かく砕かれた色素が捕食しやすくなり、トータルの照射回数が少なくなります。
そのため、PICOレーザーでは、2ヶ月以上の間隔を空けて3回の照射がタトゥー除去の目安です。3回照射しても消えない場合、もしくは消える兆候がみられない場合(タトゥーの色素が薄くなっていない、消えている部分がない)は、PICOレーザーで除去が難しい可能性がありますので、確実に除去したい場合は、手術(切除術・植皮術・削皮術)への切り替えが必要となります。
2-2.YAGスイッチレーザー
|
照射回数 |
期間 |
価格(1回) |
YAGイッチレーザー |
5回以上 |
10ヶ月以上 |
11,000円/1㎠ |
※価格は当東京イセアクリニックの価格となります。
※価格は税込です。
※価格は照射範囲が大きくなるにつれ1㎠あたりの料金が安くなります。
詳しくはこちらからレーザー治療の料金をご確認ください。
上の表はYAGスイッチレーザーを用いた場合、照射回数は最低何回必要で、期間は最低何ヶ月掛かるかを示した表です。
YAGスイッチレーザーは、ナノ秒(10億分の1秒)で照射されるPICOレーザーより前からタトゥー除去で用いられているレーザー機器です。
照射威力はPICOレーザーよりも劣るため、5回以上の照射回数が必要である点と2ヶ月以上の間隔を空けることが必要であるため、10ヶ月以上の期間を要します。
また、もう一つPICOレーザーに劣る点として、黒色のタトゥーにしかレーザーが反応しないという点です。そのためカラータトゥーや真皮層よりも深い層に入っているタトゥーの場合は、手術(切除術・植皮術・削皮術)の検討が必要となります。
しかし、PICOレーザーの出現により、YAGスイッチレーザーは価格が抑えられている傾向にあるため、安くタトゥーを消したいと考えている方にメリットのあるレーザーです。
3.確実に消えるタトゥー除去方法
前章で説明した通り、レーザーでは消えないタトゥーも存在します。また、一般的に消えると言われていても例外もあります。
そのため、タトゥーを薄くしたい、目立たなくしたいではなく、確実にタトゥーを消したいと考えている場合は、手術への切り替えや手術を行うことも視野に入れておくべきです。
タトゥーを確実に除去できる方法は切除術です。
- 切除術
切除術は、タトゥーが入っている部分の皮膚を筋膜部分までメスを入れ取り除き、周りの皮膚を縫い併せる方法です。
脂肪層から取り除くため、どんな種類のタトゥーでも除去できるメリットがありますが、サイズの大きいタトゥーは除去しきれない場合があるため、複数回にわけた分割切除を行うか、植皮術が適応となる場合があります。
また、タトゥー除去手術には、植皮術や削皮術という方法もあります。
植皮術はタトゥー部分の皮膚を削り、健康な部位から採取した皮膚を引き伸ばし、かぶせることでタトゥーを除去する方法であり、大きなタトゥーを一度で消すことに優れた方法です。しかし、採取した皮膚を引き伸ばす際にメッシュ状にしますので、メッシュの隙間から墨が見えることがあります。その場合は、改めてレーザーで除去していきます。
また、削皮術は真皮層までの皮膚を特殊なカミソリのようなものを使用し、削る方法なので、皮下組織に入っているタトゥーが仕上がったときに薄く残る可能性が否定できません。
このように、確実に除去を考える場合は切除術を視野に入れておいた方がよいでしょう。
4.まとめ
レーザー治療でタトゥーを除去する場合、タトゥーの種類によって消えない場合があります。
- 自彫りのタトゥー … 消える可能性が高い
- 機械彫りのタトゥー … 消える可能性がある
- 手彫りのタトゥー(刺青) … 消えない可能性がある
また、タトゥー除去に用いられるレーザーはPICOレーザーとYAGスイッチレーザーの2種類があり、特徴は下記の通りです。
- PICOレーザー … カラータトゥーにも反応し、照射威力が強く最低3回、6ヶ月で除去ができる可能性がある。
- YAGスイッチレーザー … 黒色のタトゥーのみに反応し、照射威力がPICOレーザーよりも劣り、最低5回、10ヶ月で除去できる可能性がある。
各レーザーにある除去するために必要な最低回数の照射が完了したときに、全く消えない(薄くなる、一部消えるなどの反応を見せない)場合は、切除術への切り替えを検討した方がよいでしょう。
こういったレーザー治療のメリットとデメリットを理解した上で、治療をスタートさせてください。
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